保育園給食のアレルギー献立を立てる3つのポイント
はじめに
保育施設の給食の重要な要素として、子どもの食物アレルギーへの対応があります。
新規で入園する子どもや在籍中の子どもに対するアレルギー対応で悩んだ経験のある栄養士・管理栄養士さんは多いのではないでしょうか。
保育施設での対策がとても重要な食物アレルギーに関して、本記事では、保育施設で献立を立てる際の3つの重要なポイントについて解説します。
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保育施設におけるアレルギー食の提供の基本原則
保育施設における食物アレルギーへの対応は必須業務であり、基本的に国が定めた「保育所におけるアレルギー対応ガイドライン」に基づいて行う必要があります
以降では、「保育所におけるアレルギー対応ガイドライン」における食事の提供に当たっての基本原則をご紹介します。
出典:保育所におけるアレルギー対応ガイドライン(2019年改訂版)
(令和5年12月6日に利用)
① 組織的な対応を行う
まず、保育施設における食物アレルギー対応に当たっては、生活管理指導表の活用を基に、施設長や看護師、栄養士、調理員等が組織的に対応することが必要と示されています。
具体的な対応としては以下3つがあります。
①職員、保護者、かかりつけ医・緊急対応医療機関と十分に連携する
②食物除去の申請には、医師の診断に基づいた生活管理指導表を更新する
③正しい知識を職員全員が共有し、記録を残す
※生活管理指導票は、医師から食物アレルギーと診断されており、施設において特別な配慮が必要な場合に、保護者が施設へ提出する書類です。子どもの氏名、年齢、施設名は保護者に記入をしていただき、それ以外は医師に記入をしていただきましょう。
※生活管理指導票の画像は令和5年12月6日時点の情報です。
出典:「保育所におけるアレルギー疾患生活管理指導票」(厚生労働省)
(令和5年12月6日に利用)
② 完全除去が基本
ガイドライン内では、保育施設の給食における食物アレルギーがある子どもの安全を考慮した対応方法として、「完全除去」が原則であると記されています。
基本的なアレルギー対応としては、「必要最低限の除去」とありますが、これはあくまで家庭の場合であり、集団である給食は、最低限の除去や部分的な除去では、事故のリスクが高く完全除去が原則となっています。
※主治医からの除去解除の判断があり、家庭において複数回食べて症状が誘発されない場合は、保育所での除去解除を進めていきます。その際は、口頭でのやり取りではなく除去解除申請書を活用し、必ず書面での対応をすすめていくことが必要となります。
※除去解除申請書は令和5年12月6日時点の情報です。
出典:保育所におけるアレルギー対応ガイドライン(2019年改訂版)
(令和5年12月6日に利用)
③ 家庭で食べたことがない食物は提供しない
3つの目の原則として、「家庭で食べたことがない食物は、基本的に保育所では提供しない」ことも提示されています。
保育施設では、アレルギー対応に関する確認も含め、全園児に対して給食で提供する代表的な食物を家庭で食べてもらうことが推奨されています。
事前に家庭で何らかの症状が誘発されないかを確認をすることで、給食を安全に提供することができます。
知っておくべき献立をたてる際の重要な3つのポイント
以降では、ご紹介した基本原則を踏まえ、保育施設における栄養士が給食の献立を立てる際の重要なポイントをご紹介します。
ポイント①:作業工程が複雑な献立は避ける
重要なポイントの1つ目は作業工程をシンプルにすることです。
給食の調理・作業工程が複雑な場合、調理中の混入といったリスクが考えられます。
そのため、複雑な献立を避け、作業工程をシンプルにすることが重要です。
例えば、鶏卵・牛乳が複数のメニューに重複しないような献立にしたり、一日の調理での対応パターンを減らしたりすることがおすすめです。
ポイント②:保護者との面談をしっかりと行う
一般的に保育施設では、入園児のアレルギー対応に関して、栄養士と保護者で面談を行いますが、その場でしっかりと自園の献立の説明と保護者への確認を行うことが重要です。
例として、除去して欲しい食品の確認を行うことや、事前にご家庭で食べてもらいたい食材を伝えて症状の有無を確認してもらうなどが大切です。
また、面談後に献立の調整をするだけではなく、献立の作成後にも、アレルギー食を喫食した子どもの食べ残しの状況を確認し、問題があればその都度改善を行うことをおすすめします。
ポイント③:受け渡し、配膳においてリスクを減らす工夫をする
食物アレルギーは、献立だけではなく、調理、受け渡し、配膳など喫食するまでの工程でもリスクが考えられるため、それらのリスクを減らす工夫も必要です。
例として、「アレルギー対応食とわかるように食札をトレーに載せる」、「配膳台や配膳トレーを別にする」、「受け渡し時のダブルチェック」などを行うとよりリスクを減らすことができます。
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